2017年7月10日月曜日

イメージトレーニングの精度向上と他分野への汎用 (要約)



【目的】
 スポーツ科学部を卒業する以上、これからの人生において「スポーツの普及と価値の向上」に貢献していくことは使命だと感じている。そこで「イメージトレーニングの精度向上と他分野への汎用」を研究することが、世の中に人々に様々な恩恵を与える有効な手段だと気付いた。
今日、スポーツの価値というものが非常に高まっている。というのもスポーツが人々にあらゆるプラスの影響を与えると、研究者だけでなく世の中が気づき始めているからである。だからこそ2020年の東京オリンピックの招致に尽力し、それが報われた暁には世間は歓喜に沸いた。その事実はなによりもスポーツの効力を世の中が感じている証拠だろう。その影響からか、スポーツ選手への注目度も日に日に高まっている。例えば、野球のイチロー選手やサッカーの本田圭祐選手の発言は、メディアを通して必ず伝えられ、それについてまた、ああでもないこうでもない、と議論される。そして、そうした一流の彼らが彼らのスポーツにおいて成功する上で欠かせないと明言しているのが「イメージトレーニング」なのである。この「イメージトレーニング」についてもっと理解を深め、精度の向上に繋がる研究を行うことが出来れば、年齢問わずスポーツ競技者の競技力を高め、スポーツ競技者の楽しみをより創出することが出来る。そうすることでさらに「スポーツの価値」が高まり、広めることが出来る。さらには、その「イメージトレーニング」がスポーツ以外の分野、例えばビジネスにも活用することができるのでは、と考えた。もしそ
れが可能であるならば、「イメージトレーニング」は単なる「娯楽を楽しむ方法」だけで終止することはない。それは、人々の人生にまで好影響を与える重要な「人生の一つの成功哲学」にまで昇華させることが出来るのではないか。こうした思いから「イメージトレーニングの精度向上と他分野への汎用」を研究対象とした。

【方法】
 まず、これまでのイメージトレーニングの先行文献を出来る限り多く読み、理解する。その上でそれらの文献から一つずつ「ポイント」「キーワード」「難点」「自分なりに気づいた点」等を抽出した。そしてそれらの文献から「イメージトレーニングの精度向上と他分野への汎用性」というテーマのヒントになる部分を洗い出し自分なりに考察し、そこからさらに文献調査を行う。そしてそのテーマについて一定の結果を提示し、吟味する。そこから残された問題点、将来の展望を提示したい。

【結果】
 『イメージトレーニングの精度向上の方法』
まず競技力は気にしない。そして内的イメージで行う。その際見本とするコーチに心情から身体感覚まで「なりきる」。さらに実際の運動時間とイメージの中での時間を限りなく近づけようとし、イメージに出来るだけリアリティを持たせる。常に「上手くいっているシーン」をイメージする。また、「自分ならできる」等のポジティブな言葉を投げかけながら行うことで「自信」を付ける。可能であり、かつ新たなスキル獲得のためのイメージトレーニングならば、そのフィードバックとしてコーチに主観カメラで獲得したいスキルを実行しているシーンをカメラで撮ってきてもらい、それを何度も見る。

 『イメージトレーニングの他分野への汎用』
緊張を和らげるためのリラクゼーション獲得、そして自信と集中力を必要とする場面で汎用可能。(プレゼンテーションなど)「なりきる」という観点からも手本とする人の心情と身体(思考)感覚に「なりきる」ことができる場面で汎用可能。(ビジネスマンなど)自己効力感獲得という側面から、気晴らしや精神科・心療内科や抑うつ傾向の人にも有効。自己イメージ・自己訓練という観点からもあらゆる人に有効。

【考察】
イメージトレーニングの精度向上には「鮮明性」「内的イメージ」「なりきる」「イメージ想起時間」のこの4つがキーワードであることが分かった。要するにこの4つを出来る限り効率良くカバーできる具体的なイメージトレーニング方法を見つけることが出来る、それがこれからのより精度向上の研究に必要だと考えられる。
また、イメージトレーニングの他分野への汎用は「可能」だと分かった。それは、イメージトレーニングは非常に幅広い効果をもたらすからである。緊張の緩和であったり自己効力感の獲得であったり、様々な効果をもたらすことから特定の分野ではなく、つまりあらゆる人々に有効な方法であると改めて分かった。これから、汎用して実際に効果があるのかを実験していくことが重要である。



2017年7月5日水曜日

性格特性が“あがり”やプレッシャーとパフォーマンスの相関に与える影響(要約)


【序論】
スポーツにおいて、トップパフォーマンスを発揮するためには「心・技・体」の3つの要素が充実していることが必要とされている。その中で、近年では「心」、つまり精神面の重要性が指摘されるようになってきた。私は、中学生の頃から水球というスポーツをやってきた。全国大会優勝という目標を掲げ、毎日辛い練習を行ってきた。しかし、いざ全国大会を迎えると今まで練習で出来ていたプレーが不安や緊張のあまり全く出来なくなってしまう事があった。その時は、「全然体が動かなかった」としか思わなかった。しかし、その一言で片づけてしまっていてはいつまで経ってもトップパフォーマンスは発揮できないと思う。
あがりやプレッシャーがパフォーマンスに与える影響を調べる為に水球のペナルティースローを実際に行ってもらい、性格特性が“あがり”やプレッシャーとパフォーマンスの相関に与える影響を調べた。

【方法】
早稲田大学水泳部水球部門の男子部員11名(学年1~4年:年齢18~22歳)にNEO-FFIを実施し、その後、早稲田大学所沢キャンパスアクアアリーナにてペナルティーシュートの実験を行った。実験終了後得られた結果を「プレッシャーがプラスに変化したグループ」とプレッシャーがマイナスに変化したグループ」の2グループに分け、さらにt検定を行い有意差を求めた。
その後、NEO-FFIから得られた各因子のスコアの2グループの比較をグラフ化した。
そこから得られた結果と事前に実施したNEO FFIを通し、あがりやプレッシャーがどのようにパフォーマンスに影響したか、また、その影響は性格特性によって変化するのかを考察した。

【結果】
神経症傾向(Neuroticism,N)の2グループのスコアをt検定した結果は0.328739であり、有意差はほぼ見られなかった。
外向性(Extraversion,E)の2グループのスコアをt検定した結果は0.46504であり、有意差はほぼ見られなかった。
開放性(Openness,O)の2グループのスコアをt検定した結果は0.43468であり、有意差はほぼ見られなかった。
調和性(Agreeableness,A)の2グループのスコアをt検定した結果は1.33591であり、有意差はほぼ見られなかった。
誠実性(Conscientiousness,C)の2グループのスコアをt検定した結果は0.328109であり、有意差はほぼ見られなかった。

【考察】
実験結果を見る限り、性格特性はあまり関係していないように思えた。実験結果に若干の差が生じたのは、緊迫した場面を鮮明にイメージできたか出来ていないかが関係していると考えた。
“あがり”やプレッシャーの原因は自分より外にある環境的要因と自分の内にある主体的要因とに区別することができる。そして、環境的要因と主体的要因は相互規定的で、相対的な関係にあると言える。
精神面は日常的な場面からと科学的な方法とで鍛えられる。私が一番重要だと考えるのは、やはり日常的な場面から精神面を鍛える事だ。例えば、どこの誰よりも練習をする、大声を出す、ゲン担ぎを行うなど。日常の中には己の精神を鍛える要素が多く存在していると思う。その要素を無駄なく、より多く使うことが精神面の大きな成長に繋がるのではないだろうか。
また、“あがり”については個人差もあるが、その点についても日常的な場面でのトレーニングは有効になってくると考える。日常の中には各々に合ったトレーニング方法が存在すると思うからだ。
今回の実験で、プレッシャーはパフォーマンスに少なからず影響するが個人差が生じ、性格特性によっての変化はあまり見られないことが分かった。そして、日常的な方法によって、“あがり”は防止することができる事もわかった。この結果を今後の参考にしていきたい。


「日本オリジナル・バスケットボール論」における考察(要約)


【問題と目的】
日本バスケットボール協会は「世界に勝てる」日本チームを目指し、従来の強化体制を根本的に見直し、「JABBA 変革21」構想を2002年に発表した。この発表において日本バスケットボール協会は「日本のオリジナルなバスケットボール」を実現することが不可欠であると述べている。しかしながら、この表現は漠然とした理想論であり、今後バスケットボール界が確立していくべき「日本オリジナル・バスケットボール」とはいかなるものであるか、その詳細について発表されたものは存在しない。現在は「JABBA変革21」構想が発表されてから間もないが、この構想は一過性のものではなく、今後も発展を続けるはずである。そこで一度、改めて「日本オリジナルのバスケットボールとはいかなるものなのか」を明らかにする必要があると考えた。

【方法】

1.文献の検討
今までに発行された日本人著書による、バスケットボールの文献の中で「日本のバスケットボール」について記述された項目(技術、戦術論に加え、「日本人の特徴」を考慮して述べられた項目)を探求する。そして、それらの項目から、「日本のバスケットボール」がどのように論じられていることが多いのか、その傾向をみる。

2.インタビュー調査以上の考察を踏まえた上で、日本代表チーム関係者へのインタビュー調査を行う。このことにより、現場に携わっている人物が「日本オリジナルのバスケットボール」をどのように考えているのか、その傾向をみる。

【結果】
1.文献の検討
日本が目指すバスケットボールの技術、戦術そのものは世界各国で共通する基本的なものであり、独創的な「オリジナル」は見当たらなかった。日本人がバスケットボール を行う上で、世界各国との「体格差(身長差)」が一番の課題となる。そのため世界中で行われている技術、戦術を、体格で劣る日本人は「より良い状況判断」と「予測能力」を持って行うべきである。

2.インタビュー調査
日本代表がどのような戦術を駆使して世界と戦うのかは、代表の選手たちの資質を鑑みて決定される。つまり、選手はどのようなアイデア(戦術)にも対応できるような、バスケットボールの基礎(ファンダメンタル)を身につけていること、それらをコートで表現できるだけの状況判断能力を身につけていることが不可欠な要素となる。これらファンダメンタルや状況判断能力を身につけるため、育成の段階では戦術を重視した指導や、ポジションの専門化を図る指導ではなく、個人技能を伸ばす指導、ポジションのオールラウンド化を図る指導。このような形を現場の指導者は考えるべきであり、今後一貫指導体制が徹底されることが期待される。同時に人材の発掘も非常に重要であり、 体力面(特に身長)で劣る日本が世界との溝を埋めることができる長身選手の発掘や育成を行い、ポジション・オールラウンド化の指導の土台づくりをしなければならない。

【考察】
「日本オリジナルのバスケットボール」とは何か、それを協会側が明確に提示できていなければ、それを説明できるコーチもいない。協会と代表チームの連携、およびU-18から日本代表までの連携、これらが徹底されていないこともあり、「日本オリジナルのバスケットボール」は存在しない、というのが現状であろう。日本がバスケットボールを強化するためには独創的な戦術を作り上げるよりも「ファンダメンタル」とされる基礎と、あらゆるスポーツに必要不可欠な「状況判断能力」を身につけることの方が重要である。現段階では各代表チーム間や協会側との連携不足なども浮き彫りになり、考え方の統一、浸透がなされていないのが実情である。しかし選手育成や代表チームの強化については、世界共通であるバスケットボールの基礎を徹底させること、あらゆる戦術に対応できる能力のある選手を育成すること、大型選手の人材発掘に力を注ぐこと、日本の指導全体がポジションのオールラウンド化を目指すべきであることなど、かなり具体的な方向性が導き出せたと考える。現在ではその中に「オリジナル」と言える部分が見当たらなかったこともまた事実であるが、本研究がJABBA変革21の発展と、日本バスケットボール界の強化と普及のための一助となることを期待している。


2017年7月3日月曜日

間欠的なハイパワー発揮能力と3種のエネルギー産生能力との関係

 緒     言

球技スポーツは,ローパワー運動を連続的に持続するのではなく,ダッシュやジャンプなどの数秒から数十秒のハイパワー運動を,ランニングなどの数秒から数十秒のローパワー運動を挟んで,不完全回復の状態で数十分から数時間,間欠的に反復するという競技特性を持つ.したがって,球技スポーツの競技力を構成する一要素としての「特殊持久力」1)は,マラソンのようなローパワー運動を連続的に持続する「連続的運動の持久力」ではなく,ハイパワー運動を間欠的に持続する「間欠的運動の持久力」という専門性を有する.
しかし,球技スポーツの持久力に関する研究は,主に連続的運動を用いて,VO2maxやATのような生理学的な指標,あるいは1500m走や12分間走などのパフォーマンスを指標とすることによって進められてきた.球技における専門的体力は,プレーの諸要求に応じて,その特徴を明確に表すような運動形態において検討されなければならない.したがって,球技スポーツの競技特性に沿ったかたちで持久力を研究するためには,連続的運動のみではなく,競技特性に類似した間欠的運動も用いることが適切であると考えられる.
一方,これまで間欠的運動に関する研究は数多く行われてきたが,その大部分は,間欠的運動中における代謝過程の解明に関する研究,あるいは間欠的運動をトレーニング手段として用いた場合のトレーニング効果とその生理学的根拠に関する研究であった.これに対して,山本らは,ペダリング運動を用いて間欠的に発揮されるハイパワーと,有気的作業能力と無気的作業能力の優劣との関係について検討している.しかし,間欠的なハイパワー発揮能力の優劣を,ATP-CP系,乳酸系,有酸素系のエネルギー産生能力の優劣と関連づけた研究は少ない.球技スポーツの特殊持久力である間欠的なハイパワー発揮能力は,3種のエネルギー産生能力が相互に関連し合って発揮される総合的な能力である.したがって,球技スポーツにおける特殊持久力に関する研究においては,3種のエネルギー産生能力をそれぞれ個別な研究対象とするのではなく,その関係性に着目する必要があると考えられる.また,間欠的運動に関するこれまでの研究は,ハイパワー運動と安静休息とを組み合わせたものが多く,しかもその大部分はラボラトリーテストによるものである.これらは,運動時間や運動様式という観点からみて,実際の球技スポーツの競技特性とは若干異なるものである.
そこで本研究では,ラボラトリーテストに加えて,球技スポーツの運動様式を考慮したフィールドテストを用いて,間欠的なハイパワー発揮能力と3種のエネルギー産生能力との関係について検討した.
 
方     法  

A.実験1.ペダリング運動による場合
1.被験者
被験者には,大学男子ハンドボール部員19名(年齢20.1±1.2歳,身長177.4±7.2cm,体重69.6±7.6kg)を用いた.
2.測定項目および測定方法
 1)エネルギー産生能力の測定
本研究では,ラボラトリーテストとフィールドテストともに,Howaldら15)による運動の所要時間とエネルギー系の動員との関係を基準にして,各エネルギー産生能力の指標を作成した.
ATP-CP系のエネルギー産生能力の指標として, 7秒間の全力ペダリング運動を,体重×0.08kpの負荷で行わせた際の体重当りの最大パワー(Max-P/BW)を測定した.乳酸系のエネルギー産生能力の指標として,Bar-Orら16)の研究を参考にして30秒間の全力ペダリング運動を,体重×0.08kpの負荷で行わせた際の体重当りの平均パワー(Mean-P/BW)を測定した.
有酸素系のエネルギー産生能力の一つの指標として,負荷漸増法によるペダリング運動を,60rpmでオールアウトに至るまで行わせた際の体重当りの最大酸素摂取量(VO2max/BW)を測定した.
また,本研究では,有酸素系のエネルギー産生能力のもう一つの指標として,体重×0.03kp×60rpmの負荷での最大下ペダリング運動を,20分間行わせた際の運動中3,9,15分目の血中乳酸濃度を測定し,その平均値(Mean-LA)を用いた.このMean-LAは,次の2)で示すインターバルテスト1のローパワー運動だけを,インターバルテスト1と同様に20分間連続的に行った際の血中乳酸濃度を評価する指標でもある.
2)間欠的なハイパワー発揮能力の測定
間欠的なハイパワー発揮能力を測定するためにインターバルテスト1を作成した(図1).このテストでは,ハイパワー運動として1)で用いた体重×0.08kpでの7秒間の全力ペダリング運動を行わせた.また,ローパワー運動として,1)で用いた体重×0.03kp×60rpmの負荷での最大下ペダリング運動を45秒間行わせた.インターバルテスト1では,負荷設定変更のためのつなぎの8秒を含めて1セット60秒として,これを20セット,計20分間行わせた。


間欠的なハイパワー発揮能力の指標としては,各セットで行った7秒間の全力ペダリング運動中に発揮された体重当たりの最大パワー(Peak-P/BW)を測定した.
また,2,5,8,11,14,17,20セット目のローパワー運動中に体重当りの酸素摂取量(VO2/BW),3,9,15セット目のローパワー運動中に血中乳酸濃度(LA)を測定した.さらに20セット全体にわたり心拍数(HR)を測定した.
運動負荷装置には,トルク制御が任意に設定できるハイパワー自転車型エルゴメーター(竹井機器社製TKK1254a)を用いた.自転車エルゴメーターから出力した信号を,ADコンバーターを介して10msec毎にコンピュータに取り込んだ.
心拍数は,胸部双極誘導法により測定した.酸素摂取量は,ダグラスバッグ法により測定した.また,血中乳酸濃度は,指尖から採血した血液サンプルを自動血中乳酸分析器(YSI社製MODEL23L)により分析した.

B.実験2.方向変換走による場合
1.被験者
被験者には,大学男子バスケットボール部員23名(年齢20.5±1.1歳,身長178.2±9.9cm,体重72.9±9.1kg)を用いた.
2.測定項目および測定方法
1)エネルギー産生能力の測定
ATP-CP系のエネルギー産生能力の指標として,25m方向変換走5) (図2下段左側参照)を行わせた際の平均速度(Max-V(25ch))を測定した. 25m方向変換走は,約6秒で終了するので,ATP-CP系のエネルギー産生能力を表す指標とみなした.乳酸系のエネルギー産生能力の一つの指標として,25mの方向変換走を連続10周行う運動時間約60秒の250m方向変換走5)を行わせた際の平均速度(V(250ch))を測定した.また,250m方向変換走における最後の2周50mと最初の2周50mの平均速度の比(V(250ch-L50/F50))を算出し,走速度の低下率を表す指標とした.
有酸素系のエネルギー産生能力の指標として,最大酸素摂取量と有意な相関関係があると報告されているMulti stage fitness testを行わせ,Paliczkaらと同様に,オールアウトに至った時点までに完走した総シャトル数(Multi)を測定した.
2)間欠的なハイパワー発揮能力の測定
間欠的なハイパワー発揮能力を測定するために,インターバルテスト2および3を作成した(図2).これらのテストでは,ハイパワー運動として1)で用いた25m方向変換走を行わせた.また,ローパワー運動として,20mの間隔を往復するシャトルランを行わせた.走速度は,片道約6.5秒で往復できる3.08m/secに設定した.インターバルテスト2,3ともに,ハイパワー運動とローパワー運動を1セットとして,これを20セット行わせた.ただし,ローパワー運動のシャトルランをテスト2では4往復,テスト3では1往復行わせたので,つなぎの時間を含めて,テスト2が1セット60秒,テスト3が1セット21秒,総運動時間は,テスト2が20分,テスト3が7分であった.
間欠的なハイパワー発揮能力の指標としては,各セットで行った25m方向変換走の平均速度(V(25ch))を測定した。

上述の1)2)の各測定項目におけるタイムの測定には,ストップウォッチ3個を用い,3つの測定値の中で近似する2つの測定値を平均し,これを代表値とした.インターバルテスト2,3および25mと250mの方向変換走は体育館において測定を行った.
 
C.統計処理
測定値は,平均値±標準偏差で示した.インターバルテストの各セットにおけるハイパワー運動の成績とその運動中の生理学的応答および3種のエネルギー産生能力の指標との相関係数の算出には,Pearsonの積率相関分析を用いた.インターバルテストの成績を,各指標毎に優れる群と劣る群間で比較するために,各指標を標準得点(T-score=50+10(個人の測定値-平均値)/標準偏差)に変換し,被験者を各指標毎に50点以上の優れる群と,50点未満の劣る群の2群に分けた.ただし,Mean-LAについては血中乳酸濃度が低い群を能力に優れる群とみなした.各指標によって分けられた両群間には,他の指標の優劣に有意差が認められなかったために,その一つの指標のみに特異的に差のある2群とみなした.2群間の有意差検定には,Studentのunpaired t-testを用いた.なお,統計処理の有意性は,危険率5%未満で判定した.

    結     果  

A.ペダリング運動による場合
1.エネルギー産生能力
ATP-CP系,乳酸系および有酸素系のエネルギー産生能力の指標に用いたMax-P/BW,Mean-P/BW,およびVO2max/BWとMean-LAの平均値および標準偏差は,順に11.96±0.61 watt/kg,7.96±0.61 watt/kg,54.4±4.3 ml/kg/min,2.9±1.2 mmol/lであった.これらの指標に用いた4項目間の相関係数は,-0.398から+0.329の範囲内にあり,いずれも有意な相関関係は認められなかった.

2.間欠的なハイパワー発揮能力
図3に,インターバルテスト1(20分間)におけるPeak-P/BWおよび生理学的な測定値の変化を示した.


Peak-P/BWは,1セット目に11.42±0.70watt/kg(95.8±5.0%Max-P/BW)の値を示し,その後は18セット目まで徐々に低下した.
VO2/BWは,20セットを通じて,ほぼ40~45ml/kg/min(70~80%VO2max)の範囲内にあった.
HRは,ハイパワー運動による上昇と,ローパワー運動による低下を繰り返しながら徐々に増加し,6セット終了後に171.6±11.2beats/minに達した後は,20セットまでほぼ一定の値を維持した.なお,セット数が進むにつれて,ローパワー運動による心拍数の低下は小さくなった.
LAは,セット数が進むにつれて徐々に増加し,15セット目に8.7±2.1mmol/lに達した.
3.間欠的なハイパワー発揮能力とその運動中における生理学的な測定値との関係
図4に,インターバルテスト1におけるPeak-P/BWと,その運動中の生理学的な測定値との相関係数の変化を示した.


Peak-P/BWとVO2/BWおよび%VO2maxとの相関係数は,いずれもセット数が進むにつれて大きくなり,中盤以降において有意な正の相関関係が認められた.
Peak-P/BWと運動前および運動後の心拍数との間には,3セット目以降に負の相関関係が認められた.また,ローパワー運動中における心拍数の低下(ハイパワー運動直後と次のハイパワー運動直前との差)との間には,正の相関関係が認められた.相関係数はセット数が進むにつれて徐々に大きくなった.
Peak-P/BWとLAとの間には,8セット目に有意な負の相関関係が認められた.
4.間欠的なハイパワー発揮能力と3種のエネルギー産生能力との関係
図5に,インターバルテスト1におけるPeak-P/BWと,個別に測定した各エネルギー産生能力の指標との相関係数の変化を示した.


Peak-P/BWとMax-P/BWとの間には,前半の数セットにおいて有意な正の相関関係が認められたが,その値はセット数が進むにつれて徐々に小さくなり,一部を除いて有意な相関関係は認められなくなった.
Peak-P/BWとMean-P/BWとの間には,20セットを通じて有意な相関関係は認められなかった.
Peak-P/BWとVO2max/BWとの相関係数は,セット数が進むにつれて徐々に大きくなり,16,17セット目には有意な正の相関関係が認められた.また,Peak-P/BWとMean-LAとの間には,20セットを通じて負の相関関係が認められた.そして,相関係数は,5セット目まではセット数が進むにつれて小さくなり,その後はほぼ一定の値を示した. また,3セット目からは有意な負の相関関係が認められた.
5.エネルギー産生能力に優れる群と劣る群との間欠的なハイパワー発揮能力の比較
図6に,4つの指標毎に分けた2群のインターバルテスト1の結果を示した.


Max-P/BWに優れる群は劣る群に比較して,1セット目のみに有意に高いPeak-P/BWを示した.
Mean-P/BWに優れる群は劣る群に比較して,2セット目以降において低いPeak-P/BWを示す傾向が認められた.
VO2max/BWに優れる群は劣る群に比較して,中盤以降において高いPeak-P/BWを示す傾向が認められた.また,VO2/BWは,優れる群が劣る群に比較して高い値を示す傾向が認められたが,逆に%VO2maxは劣る群が高い値を示す傾向が認められ,8,20セット目においては両群間に有意差が認められた.
Mean-LAに優れる群は劣る群に比較して,4セット目以降において有意に高いPeak-P/BWを示した.VO2/BWと%VO2maxは,いずれも優れる群が劣る群に比較して高い値を示す傾向が認められた.
 
B.方向変換走による場合
1.エネルギー産生能力
ATP-CP系,乳酸系および有酸素系のエネルギー産生能力の指標に用いたMax-V(25ch),V(250ch)とV(250ch-L50/F50),およびMultiの平均値および標準偏差は,順に4.61±0.14 m/sec,3.89±0.14 m/sec,85.6±5.1 %,139.6±16.2 shuttlesであった.これらの指標に用いた4項目間の相関係数は,V(250ch)とV(250ch-L50/F50)との間(r=0.592,p<0.05)を除くと,0.056から0.447の範囲内にあり,いずれも有意な相関関係は認められなかった.
2.間欠的なハイパワー発揮能力
図7に,インターバルテスト2(20分間)および3(7分間)におけるV(25ch)の変化を示した.


 V(25ch)は,1セット目にテスト2では4.55±0.16m/sec(98.8±2.1%Max-V(25ch),テスト3では4.52±0.18m/sec(98.1±2.1%)の値を示した.2セット目以降は両テストともに徐々に低下したが,テスト2がテスト3よりも有意に高い値であった.
3.間欠的なハイパワー発揮能力と3種のエネルギー産生能力との関係
図8に,インターバルテスト2および3におけるV(25ch)と,個別に測定した各エネルギー産生能力の指標との相関係数の変化を示した.


テスト2の結果をみると,V(25ch)とMax-V(25ch)との相関係数は,セット数が進むにつれて徐々に小さくなり,10セット目まで有意な正の相関関係が認められた.逆に, V(25ch)とMultiとの相関係数は,セット数が進むにつれて徐々に大きくなり,5セット目以降において有意な正の相関関係が認められた.V(25ch)とV(250ch)との間には,9,10セット目においてのみ有意な正の相関関係が認められた.また,V(25ch)とV(250ch-L50/F50)との相関係数は,セット数が進むにつれて徐々に大きくなる傾向が認められ,10,12および13セット目において有意な正の相関関係が認められた.
一方,ローパワー運動の時間の短いテスト3では,テスト2よりも前半数セットにおけるMultiとの相関係数が大きく,Max-V(25ch)との相関係数が小さい傾向が認められた.また, V(25ch)とV(250-L50/F50)との相関係数が,前半の数セットと後半の数セットにおいて大きい値を示す傾向が認められた.
4.エネルギー産生能力に優れる群と劣る群との間欠的なハイパワー発揮能力の比較
図9に,4つの指標毎に分けた2群のインターバルテスト3におけるV(25ch)の変化を示した.

 Max-V(25ch)に優れる群は劣る群よりも,運動の初期に高いV(25ch)を示す傾向が認められ,1,2および7セット目においては両群間に有意差が認められた.
V(250ch)に優れる群は劣る群よりも,4セット目以降において低いV(25ch)を示す傾向が認められた.また,V(250ch-L50/F50)に優れる群は劣る群よりも,3セット目以降において高いV(25ch)を示す傾向が認められ,18および19セット目においては両群間に有意差が認められた.
Multiに優れる群は劣る群よりも,2セット目以降において有意に高いV(25ch)を示した.
ローパワー運動の時間の長いインターバルテスト2においても,上述したインターバルテスト3とほぼ同様の結果を示した.

  考     察

 競技スポーツにおける「持久力」のトレーニングを行う場合には,先ず,その競技種目特有の持久力に影響を及ぼす要因を明確にすることが重要である.本研究では,球技スポーツに特有の持久力と考えられる間欠的なハイパワー発揮能力と3種のエネルギー産生能力との関係について検討した.テストには,自転車エルゴメーターを用いたラボラトリーテストに加えて,トレーニング場面で簡便に行える方向変換走を用いたフィールドテストを行った.
間欠的運動においては,運動中に分解されたATPおよびPCrが,休息中に有酸素系のエネルギー供給機構の働きによって再合成され,次の運動期のエネルギー源として利用される.山本らは,安静休息を挟んで間欠的に発揮されたハイパワーと,個別に測定した3種のエネルギー産生能力の指標との相関係数を算出した結果,ATP-CP系のエネルギー産生能力の指標との相関係数は,運動の開始数セットのみに大きい値を示すが,その値はセット数が進むにつれた小さくなることを報告している.休息期にローパワー運動を用いた本研究においても,ラボラトリーテストとフィールドテストのいずれの場合も,間欠的に発揮されたハイパワーとATP-CP系のエネルギー産生能力の指標との相関係数は,前半の数セットで大きく,セット数が進むにつれて徐々に小さくなった(図5,8).また,一つのエネルギー産生能力のみに差が生じるように被験者を2群に分けて,間欠的に発揮されたハイパワーを比較した結果,ATP-CP系のエネルギー産生能力に優れる群は劣る群よりも,前半の数セットにおいて有意に高い成績を示したが,両群間の差はセット数が進むにつれて徐々に小さくなる傾向が認められた(図6,9).これらのことは,ATP-CP系のエネルギー産生能力は運動開始後の数セットにおける発揮パワーの優劣を左右する重要な要因になるが,その影響はセット数が進むにつれて徐々に小さくなることを示唆するものである.
これに対して,間欠的に発揮されたハイパワーと有酸素系のエネルギー産生能力の指標との相関関係は,前半で小さくセット数が進むにつれて徐々に大きくなった(図5,8).また,有酸素系のエネルギー産生能力に優れる群は劣る群よりも,2~3セット目以降において高い成績を示し,両群間の差はセット数が進むにつれて徐々に大きくなる傾向が認められた(図6,9).また,休息期の時間が短くなるほど,間欠的に発揮されたハイパワーとATP-CP系のエネルギー産生能力の指標との相関関係は小さくなり,逆に有酸素系のエネルギー産生能力の指標との相関関係は大きくなる傾向が認められた(図8).
山本ら13)は,このように有酸素系のエネルギー産生能力が間欠的なハイパワー発揮能力に大きな影響を及ぼすメカニズムとして,次の2つをあげている.一つは,運動期のエネルギー供給という直接的影響であり,他の一つは回復期にATPおよびPCrを再合成するという間接的影響である.直接的影響に関しては,Gaitanosらが,30秒間の休息を挟んだ6秒間の全力ペダリング運動を10セット行わせた際の筋バイオプシーの結果から,10セット目のペダリング運動では,有酸素系からのエネルギー供給が増大していることを報告していることからも裏付けられる.
本研究では,インターバルテストにおけるハイパワー運動中に酸素摂取量を測定していないために,運動期における有酸素系からのエネルギー供給の直接的影響について言及することはできない.しかし,休息期における間接的影響については,インターバルテスト1のPeak-P/BWと,ローパワー運動中のVO2/BWとの間に,7セット目以降有意な正の相関関係が認められた(図4).また,有酸素系のエネルギー産生能力の指標としたVO2max/BWとMean-LAに優れる群は,いずれもローパワー運動中に高いVO2/BWを示す傾向が認められた(図6).これらのことは,有酸素系のエネルギー産生能力によるATPおよびPCrの再合成という間接的影響の重要性を裏付けるものであると考えられる.
一方,インターバルテスト1のPeak-P/BWと,その運動中のLAとの間には負の相関関係が認められた(図4).また,VO2max/BWとMean-LAに優れる群は,いずれも間欠的運動中に低い血中乳酸濃度を示す傾向が認められた(図6).これらのことは,有酸素系のエネルギー産生能力に優れる群は,運動期における有酸素系からのエネルギー供給という直接的影響と, 休息期における有酸素系のエネルギー産生能力によるATPよびPCrの再合成という間接的影響の両方の働きによって,ハイパワー運動中における乳酸系のエネルギーの動員を結果的に抑制することができるとした山本ら23)の報告と一致するものである.
上述の結果から,間欠的運動のローパワー運動中に高いVO2/BWを獲得できる能力が,間欠的運動の中盤以降における発揮パワーの優劣を左右する一つの重要な要因であることが示唆された.しかし,VO2max/BWとMean-LAに優れる群は,いずれもVO2/BWではほぼ同様の値を示しているにも関わらず,その相対値である%VO2maxに着目すると,VO2max/BWに優れる群が20セットを通じて約70%前後であるのに対して,Mean-LAに優れる群は約80%前後の高い値を維持している(図6).また,Peak-P/BWは,VO2max/BWよりもMean-LAと高い相関関係を示した(図5).さらに,被検者をVO2max/BWの優劣で2群に分けた場合よりも,Mean-LAの優劣で2群に分けた場合の方が両群間のPeak-P/BWの差が大きくなった(図6).これらのことは,Mean-LAに優れる群と劣る群との間には,VO2max/BWには差が無かったことを考慮すると,間欠的なハイパワー発揮能力に優れるためには,ローパワー運動中に高い酸素摂取量を獲得することが重要になるが,そのためには,単に最大酸素摂取能力を高めるだけではなく,最大酸素摂取量に対して相対的に高い強度で運動を行っても血中乳酸濃度を上昇させないような最大下の作業能力を高めることが重要になることを示唆するものである.
一方,本研究では,休息期に完全休息ではなくローパワー運動(体重×0.03kp×60rpm,55.7±6.7%VO2max)を行わせたために,ATP,PCrの回復率は低く,ハイパワー運動中に乳酸系のエネルギーに依存する割合は,セット数が進むにつれて徐々に高まったと考えられる.このことは,ローパワー運動(体重×0.03kp×60rpm)だけを20分間連続的に行った際のMean-LAの平均値が2.9±1.2mmol/lであったのに対して,インターバルテスト1の15セット目において,LAの平均値が8.7±2.1mmol/lに達していたことからも推察される.しかし,インターバルテストの成績と乳酸系のエネルギー産生能力の指標としたMean-P/BWおよびV(250ch)との間に有意な相関関係は認められず(図5,8),逆に,両指標に優れる群は劣る群と比較して,インターバルテストの成績がむしろ低い傾向が認められた(図6,9).本研究では,この原因を明示することはできないが,おそらく,間欠的なハイパワー発揮能力には,乳酸系のエネルギー産生能力そのものに優れることよりも,逆にハイパワー運動中に乳酸系のエネルギーの動員をできるだけ低く抑える能力,すなわち前述した有酸素系のエネルギー産生能力に優れることの方がより重要になるものと考えられる.このことは,間欠的に発揮されたハイパワー運動の成績と,その運動中の血中乳酸濃度との間に負の相関関係が認められたことからも推察される(図4).
しかし,フィールドテストに用いた250m方向変換走の速度の低下率を表す指標V(250ch-L50/F50)と,V(25ch)との相関係数は,セット数が進むにつれて徐々に大きくなる傾向が認められた(図8).また,V(250ch-L50/F50)の優劣で被験者を2群に分けた場合には,優れる群が劣る群よりも3セット目以降高い値を示す傾向が認められた(図9).%ST fiber,毛細血管密度,酸化系酵素活性(CS,LDH/CS,PFK/CS)などの骨格筋の有気的酸化能力に優れる者は,等速性膝関節伸展・屈曲運動における力の低下率が小さく,短時間(30~60秒間)の休息後におけるATPおよびPCrの回復率が高いことが報告されている.全身運動である250m方向変換走の速度の低下率を,上述した骨格筋の有気的酸化能力と直接結び付けることには問題があろう.しかし,V(250ch-F50/L50)に優れる群が劣る群よりも,全身の呼吸循環機能の指標であるMultiには差がなかったにも関わらずインターバルテストの成績に優れたことは,間欠的なハイパワー発揮能力に対しては,呼吸循環機能に加えて,筋それ自体の有気的酸化能力も重要な役割を果たすことを示唆するものと考えられる.また,毛細血管密度の高い者は,上述のように筋への血流量を増大させることによって,ハイパワー運動時に筋内で生じたH+をHCO3-系の緩衝能によって筋外へ拡散させることができるために,ハイパワー運動時に乳酸系のエネルギーが動員されても筋の酸性化を抑制することができる可能性のあることも考えられる.
本研究の結論として,間欠的なハイパワー発揮能力には,有酸素系のエネルギー産生能力,特に最大下の運動において血中乳酸濃度を上昇させない能力が大きく関与することが示唆された.したがって,球技スポーツのスタミナを高めていく場合には,ハイパワーの発揮能力そのものを高めるトレーニングと同時に,回復力としての有酸素系のエネルギー産生能力を高めるトレーニングが必要であると考えられる.


    要     約

本研究では,大学男子ハンドボール部員19名(実験1),バスケットボール部員23名(実験2)を用いて,ハイパワー運動とローパワー運動とを組み合わせた間欠的運動中に発揮されたハイパワー運動の成績および生理学的な測定値と,個別に測定したATP-CP系,乳酸系および有酸素系の3種のエネルギー産生能力との関係について検討した.実験には,ラボラトリーテストであるペダリング運動(実験1)と,フィールドテストである方向変換走(実験2)を用いた.主な結果は次の通りである.
1.ATP-CP系のエネルギー産生能力は,間欠的運動の前半の数セットに発揮されたハイパワー運動の成績と,有酸素系のエネルギー産生能力は,中盤から後半にかけて発揮されたハイパワー運動の成績とそれぞれ正の有意な相関関係を示した.また,有酸素系のエネルギー産生能力の指標の中では,最大酸素摂取能力よりも,一定の負荷条件で運動を行ったときに血中乳酸濃度を上昇させない最大下の作業能力の方が,間欠的に発揮されたハイパワー運動の成績とより高い相関関係を示した.なお,乳酸系のエネルギー産生能力は,間欠的に発揮されたハイパワー運動の成績と有意な相関関係を示さなかった.
2.被験者を一つのエネルギー産生能力のみに差が生じるように2群に分けて,間欠的なハイパワー運動の成績を比較した.ATP-CP系のエネルギー産生能力に優れる群は劣る群に比較して,間欠的運動の前半の数セットにおいて有意に高い成績を示した.有酸素系のエネルギー産生能力に優れる群は劣る群に比較して,間欠的運動の中盤以降において有意に高い成績を示し,また,間欠的運動におけるローパワー運動中の酸素摂取量が高く,血中乳酸濃度は低い値を示す傾向が認められた.なお,乳酸系のエネルギー産生能力に優れる群は劣る群に比較して,間欠的運動の全体を通じて低い成績を示す傾向が認められた.
以上の結果から,間欠的運動の持久能力にとって,有酸素系のエネルギー産生能力が重要であることが示唆された.

文献省略

スポーツのメンタルトレーニング (要約)

【序章】   卒業論文において、私はスポーツにおけるメンタルトレーニングを考察することにした。もともと心理学という学問に興味があったが、そのなかでも、いかに 不安や緊張に襲われる状況の中で、自分の心を整える かということに興味を抱いた。今回は、主にスポーツ を行う人からの視...